と、いう訳で第八話「青い世界のロイヤル」如何だったでしょうか。

…長かったですね!(笑)

今回は最初から長編を予定していたので、ある程度長くなる事は予想していたのですが、まさか過去の最長記録を二倍以上上回るページ数の作品になるとは全く想像していませんでした。
この話を描いた事で、Web版「都島燈理」の総ページ数が約二倍になりましたからね…。
結果として一年以上かかってしまった訳ですが、正直、途中で何度本気で止めようと思ったか数え切れないくらいです。
最後までこの作品にお付き合い下さった皆様方には、心より感謝致します。


さて、例によって作中トリックの解説と参りましょう。

●掛け金の密室トリックについて
このトリックは、光野が旧版「都島燈理」のかなり初期に思いついたトリックです。
作品中で快君が説明したように、いわゆる「掛け金の密室」というのは「掛け金を固定し、部屋の外に出た後でそれを閉める」方法が、最も一般的なやり方なのですが、他に何かやり方はないだろうかと考えた末、トリックの方でなく掛け金の方にバリエーションが持たせられないだろうかという風に思いついた訳なのですね。
そうして「扉をほんの僅かでも斜めにすれば、ほとんどのトリックのパターンを否定出来るのではないか」と思い至り、そこから更にそれを解決する方法を考えて完成したのが今回の密室トリック。
はっきり言って、滅茶苦茶マニアックなトリックです(笑)
ちなみに、最初に考え出した解答は快君が解説していた方で、小屋を傾ける方に関しては、そのかなり後に思いついたもの。

最初は快君が密室の第一解答に関して話したりせず、解答編で二段構えにひっくり返す展開を考えていたのですが、それだと真相当ての正解率が物凄い事になってしまいそうなのと、あとちょっとした事情により今回のような展開にしてみた訳なのですが…。
…どうだったでしょうね?(^^;

ちなみにこの形式の掛け金では従来のほとんどの密室トリックが通用しない事から、旧版では「密室破り」という名前を付けていたり。
元の作品タイトルは「密室破りの密室」

●電話のアリバイトリックについて
第一話「夢の為の非日常的時間の観測」における受話器入れ替えトリックと、本質的に全く同じトリック。
というか、順番で言うと本当はこちらのトリックの方が先で、「夢時」の方が後に思いついた物なのですが…。

この電話のアリバイトリックは、元々「幽霊電話」というタイトルの短編に使われていた物で、実はHP「秋色西瓜」を始める際、この「幽霊電話」と、「夢時」と、どちらを第一話にしようか非常に迷った記憶があるのですよね。
「夢時」を第一話に持ってくると、この「幽霊電話」のトリックの面白さが若干なりとも失われてしまう。
かといって「幽霊電話」を先に持ってくると、「夢時」の面白さが若干なりとも失われてしまう。
まあ、結果として第一話は「夢の為の非日常的時間の観測」になった訳ですけど。

最初、第八話はこのトリックのみで話を進める予定だったのですが、前述したような理由もあり「このトリックだけでは作品を支えきる事には少し弱いのではないか?」と思った為、掛け金の密室トリック、そして日記のトリックを新たに加えてみた次第です。

●日記のトリックについて
最近の推理小説では「叙述トリック」と言って、「地の文で嘘を付かないで上手く誘導する事により、読者にその内容を錯誤させるトリック」が流行っています。
本編で副会長が日記について解説したのが、いわゆるその「叙述トリック」の一種なのですが、それを更に逆転しても良いのではないか?と考えて思いついたのが今回のトリック。
「叙述トリックとみせかけて物理トリックで更に返す」という意味で「叙述返し」と名付けたのですが、出来上がってみると割と微妙といいますか、うん、まあ、微妙…?

「内輪の学園祭」、「杉の幼木」については軽めの文章トリックとして。
「窓を一直線に開ける事によって見られる夕日」は、割とありがちなパターンの物を。
「穴の開いていないコンクリートの下に物を埋める」トリックに関しては、とある理由で最後まで入れるかどうか大いに迷ったのですが、「とにかく今出来る全力を出しておかないと、良い作品は生まれないのではないか?」と思った為、今回入れてみた次第。

ちなみに「叙述返し」を使った旧作のタイトルは「君の影には些細」


全体で大きく分けて三つのトリックが使われている訳ですが、これだけの長さの物語としては、トリックが少し弱かったのではないかと個人的には思っています。


さて、気になる人は気になるかもしれない次回の「都島燈理」ですが。
しばらくの間、こんな長さの長編はもう絶対に描きたくないのでかなり短めの話になる予定です。
おそらく、長くてもせいぜい中編程度の話になるでしょう。
しかし、光野はこれからしばらくの間投稿活動に専念したいと思っていますので、例え短編であったとしても、更新されるのは相当先になるだろうと思います。
まあ、実際の所どうなるかは分かりませんけど…。
そんな訳で、例によって予定は未定の状態になってしまっている訳ですが、それでも気長にお待ち頂けるのであれば。
次回作で、お会い致しましょう。


ところで、物語が終わったにも関わらず幾つか伏線が残ってしまっている事に、皆さんもお気づきかと思います。
「一年前に起こったちょっとした事件」「何故か燈理君を知っている風だったヤクザ」「学校に居ない間、燈理君はどこで何をしていたのか」「露美ちゃんと燈理君の間に何があったのか」。
全て燈理君関連の事ですが、これらについては以下次回以降という事で。

物語の収束が、近付いています。


BY 光野水人




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